魅力度が高い仕事ランキング

 

今後10年にわたって魅力度が高い仕事

最優秀職業ランキング(Best Business Jobs 2019)

「世界最高の国ランキング(Best Countries Overall Rankings)」や「世界大学ランキング(Best Global Universities Rankings)」で有名な米国のUSニューズ&ワールド・レポートが発表した2019年度の『最優秀職業ランキング(Best Business Jobs)』。求人動向の把握や今後の需要予測のために毎年チェックしているこのランキングの上位職業(職種)をここで紹介したい。

このデータは、アメリカ合衆国労働省労働統計局(U.S.BLS)の統計データに基づいて雇用数の多い職業を割り出した上で、平均給与、雇用率、今後10年間の成長率、将来の展望・需要予測、ストレスレベル、ワークライフバランスといった要素を0~10のスコアで算出し、その全体スコアに基づいてランキングされている。つまり、「今後10年にわたって魅力度が高い仕事」と言える。(ビジネス系の職業を対象としているため、士業や医師、技術者等は対象外となる。)

*1「オペレーションズリサーチアナリスト」とは、経営管理・組織運営における課題解決や意思決定を支援するために、数学・統計的モデルを用いて分析・提言する職種。そのベースとなる「オペレーションズリサーチ(OR)」は軍事研究を起源としながら発展し、現在は海外のビジネススクールで必修科目になっている。日本では、日本オペレーションズ・リサーチ学会(公益社団法人)がORの調査研究や普及促進活動を行っている。

*2「コストエスティメーター」とは、工学や統計の知識・技術を活かして主に製造メーカーや建設会社で原価計算やコスト見積り、入札を専門に担当する職種。日本の建築業界では、日本建築積算協会(公益財団法人)が「建築積算士」という資格認定制度を設けて調査研究や普及促進活動を行っている。

*3「ファンドレイザー」とは、NPOにおいてその社会的使命を達成する活動に必要な資金を個人・法人・政府などから集める職種。日本ではまだまだ珍しく、日本ファンドレイジング協会(特定非営利活動法人)が「認定ファンドレイザー」という資格認定制度を設けているが、米国ではファンドレイザーを養成する大学やファンドレイジングを専門とするコンサルティング会社が存在するなど、かなり発展している。  

 

データリテラシーの重要性

1.統計専門家

ランキング1位のStatistician(統計専門家)については、Googleのチーフエコノミストであるハル・ヴァリアン氏が2012年に経営学誌のHarvard Business Reviewで述べた『今後10年間で最もセクシーな職業は統計家である』という言葉で既に有名になっているため、ここであらためて詳しく述べる必要はないが、特に「データサイエンティスト」は、日本でも競争力確保の観点からその人材確保と育成は急務となっており、官民で様々な取り組みが始まっている。

2.日米社会20年遅延説

このランキングで注目すべきポイントは、実はその半数近くが統計分析を専門とする職種で占められていることが分かる。もちろん、このランキングは米国の統計データに基づいており、日本ではまだ珍しい職種も含まれているが、過去にその米国で起こった政治・経済・社会の構造変化や現象が約20年かけて日本に普及・再現されるという考現学説「日米社会20年遅延説」に従って考えてみると、近い将来に日本でも急速にこれら職種の需要が増加し、その価値が高まってくる可能性が高い。

3.データリテラシー指数

先に述べたランキングとは別のデータになるが、2018年に米国のQlik社が発表した世界初の学術研究「データリテラシー指数(Data Literacy Index)」は、とても興味深い。この研究では『データリテラシーの高い企業は企業価値も高い』ということが明らかになり、国別のスコアにおいてはNo.1のシンガポールの他に、英国・ドイツ・フランスといったヨーロッパ勢が目立つ一方で、日本はグローバルの中でも特に低い結果となっている。そして組織の「データリテラシー」が会社の業績を底上げし、個人の「データリテラシー」が高い人ほど仕事のパフォーマンスも高いという相関関係も示された。

4.データ大流通時代

既にご存知の方も多いはずだが、日本国内においてはここ10年の急速なIT関連技術の進展と利用環境面の変化で到来した「データ大流通時代」に対応していくために、2018年に「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が閣議決定され、①電子行政 ②健康・医療・介護 ③観光 ④金融 ⑤農林水産 ⑥ものづくり ⑦インフラ・防災・減災等 ⑧移動の8分野で政府が推進する「データが人を豊かにする社会(官民データ利活用社会)の実現」を目指し、官民・分野を横断した様々な施策や研究開発がこれから加速していくことになる。

そういった観点や事実を統合すると、これからのデータ大流通時代で共存・進化していくためには、あらゆる業種・職種、あるいは分野において、データの読み書き・分析・活用・議論する能力「データリテラシー」が不可欠になってくることは明らかだ。もちろん旧態依然とした人材業界も例外ではなく、特に「データ」と「テクノロジー」に疎い従来型の人材紹介コンサルタントは、これから生きづらい時代に直面していくことになるだろう。

プロフェッショナル・リクルートメント事業部
エグゼクティブ・ディレクター
樋口 拓摩