人生100年時代のキャリア形成

 

未曽有の人生100年時代を見据えたキャリア形成

世界屈指の長寿国である日本の場合、平均寿命は男女ともに過去最高(2016年の日本人の平均寿命:男性が約80歳、女性が約87歳)を更新し続けており、「人生100年時代」の到来が現実味を帯びてきている。これは、今からは想像もできないような余りにも長い「老後の第二の人生」が待ち受けているということでもある。

周知のとおり公的年金の支給開始年齢が60歳から65歳へ段階的に引き上げられたことを受け、高年齢者雇用安定法により企業は従業員が希望すれば65歳まで雇うことを義務づけられたが、特に日本人の高齢者は就業意欲が非常に高い傾向にあるとはいえ、現実的にすべての希望者が65歳以上まで働けるわけではない。

さらに言えば、支給開始年齢が70歳となる可能性もあり、それまでの預貯金を含めた金融資産や実際の年金受給額(厚生年金[老齢厚生年金]の年間平均支給額の推移は右肩下りの状態)にもよるが、仮に働く意欲がなくても生計を立てていくために働く必要に迫られることになるかもしれない。

企業が定年退職を迎えた社員たちに支払う「退職金」についても、大手企業を中心にその金額の減少が続いており、その制度自体を廃止している企業も急増しているため、過度な期待は禁物であろう。定年退職したら「退職金」と「公的年金」でのんびり余生を過ごす、そんな時代は既に終わりを告げているのかもしれない。

それでは、ロールモデル不在の「人生100年時代」を見据えた場合に今から取り組むべきことは何か? その答えとして以下のようなポイントが挙げられるが、ここで言うキャリア形成の観点においては、特に中長期的に必要とされる専門的な知識・技能の習得」、「会社に依存しない自立心と生きた人脈づくり」「場所・時間や雇用形態にとらわれない働き方対応力」が重要になるだろう。

著書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』で長寿時代の生き方を説いた英国ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏も、これからの「人生100年時代」に特に重要性が増すものとして、実際に以下の3つを挙げている。
教育(専門技能を高め、世界中の競合との差別化が必要)
多様な働き方(70才超まで働くことを想定し、独立した立場での職業を考える)
無形資産(お金だけでなく、経験や人的ネットワークなど)

政府による「一億総活躍社会の実現」や「働き方改革」、「人生100年時代構想」といった旗印はあるものの、つまるところは、個人の自己責任という名のもとで、近い将来に訪れる未曽有の変化に取り残されないようにするために、社会人生活の比較的早い段階から戦略的かつ計画的にキャリアを形成していく必要があることは言うまでもないだろう。